役員に対する給料は従業員に対する給料と異なる点がたくさんあります。
会社をこれから起業される方を想定して”役員報酬”の基礎について見ていきます。
①名称
”役員報酬”と言ったり”役員給与”と言ったりします。
意味としては同じですが、決算書や試算表においては”役員報酬”と表示するのが一般的です。
従業員に対する給料は”給料手当”と表示されます。
”給料”は厳密に言うと基本給のみを指していて、諸々の手当や賞与を含めたもの を”給与”と総称します。
②法律的な契約関係
役員とは委任契約、従業員とは雇用契約を結んでいます。
委任契約…役員が職務執行の対価として報酬を得る契約。
雇用契約…会社からの指揮命令により働いて、その労働の対価として報酬を得る契約。
イメージとしては一定時間働いてもらうのが雇用契約、しっかり仕事していれば時間的制約はない委任契約といったところです。
③各種保険
社会保険(健康保険・厚生年金)は役員も従業員も加入できますが、労災や雇用保険については役員は原則加入できません。
これは労災や雇用保険が立場の弱い従業員を守るためにできたものであるためです。
”原則”加入できないと書いたのはケースによっては入れるためです。
一つは使用人兼務役員。 役員であっても取締役営業部長のように従業員としての仕事もしている場合には労災も雇用保険も加入できます。
もう一つは労災の特別加入。 中小企業であれば労働保険事務組合を通じて労災には加入できます。
民間の損害保険もあります。補償内容によって保険料が変わるのでどちらが安いとは一概には言えません。
今日は概要ということでここまで。
保険の取り扱いは影響が大きいので使用人兼務役員の活用や労災の特別加入制度の検討をお薦めします。