経費を立て替えて払ってそれを相手方に請求することがあります。
例えばこんな例です。
①建築業者が行政に申請手数料を支払い、建築代金と共にお客さんに請求した。
②かかった交通費をお客さんに請求した。
この場合の消費税はどうなるのでしょうか。
まず①ですが建築代金が80万円、申請手数料が20万円だとします。
請求書に税込100万円と書いて出すと消費税は100万円×5/105=47619円納めることになります。 申請手数料は立て替えて右から左に払うだけなのにこの分の消費税9523円も払っていることになり、損しています。
ではどうすれば立替経費にかかる消費税を払わずに済むでしょうか。
消費税基本通達10-1-4では請求書や領収書などで内訳を明示すれば、課税売上に該当しないとされています。 言われてみれば当たり前の話ですが、逆に言うとちゃんと明示しておかないと損するので注意が必要です。
会計処理においては「売上」のままか「立替金」にするかは特に求められていません。 「立替金」にすると管理が大変なので、「売上」で両建て処理する方が簡便な処理で済みます。
なお、申請手数料20万円に利益を5万円乗せて25万円で請求した場合には、「立て替え」とは言えませんので25万円全額が消費税の課税売上げになります。
次に②の交通費立て替えです。
電車代の実費25000円をお客さんに請求したとします。
消費税の上乗せもしてないし、感覚的には消費税はかからなさそうですが、これは課税売上げになります。 というのも払った時に消費税を控除しているのでもらった時も消費税を納めなければなりません。
なお始めから「立替金」処理すれば払う方ももらう方も消費税は関係ありません。
また簡易課税制度を選択している場合は、売上に対して消費税を納めるので、立替金処理の方が得をします。
ちょっとマニアックな論点ですが、消費税が今後上がっていくので影響も大きいです。 ムダに消費税を払っていないか見直してみて下さい。