昨日の続きで相続税の農地の納税猶予について見ていきます。
農地の納税猶予とは、農業を続けること要件に相続税の支払いを猶予してもらえる制度です。
あくまで払うべき相続税を猶予しているだけで相続税が非課税になっているわけではありません。
<対象農地>
特定市の市街化区域にある農地で生産緑地でない場合(図の赤い部分)は納税猶予の適用はありません。
<いつまで猶予?>
”猶予”ということは、いつかは払わなければならない、または完全に免除のどちらかになります。
①納付になるケース
・生産緑地の解除
・農地の売却、転用
なお納付になる場合は猶予されていた相続税と一緒に利子税を払わなければなりません。 利子税は時期によりますが3.7%~6.6%と高利です。 相続があった時までさかのぼって利息を計算するので下手をすると相続税より多くなります。
②免除になるケース
・農業従事者の死亡
・3大都市圏以外で市街化区域にある農地については20年農業継続で免除。
免除になると言っても前の相続税が免除になるだけで、農業従事者の死亡による今回の相続では相続税がかかります。この相続でも納税猶予を選択すれば、相続税を払わない状態を継続できます。
<継続性>
このように生産緑地及び納税猶予については、農業を続けることを前提に大幅に税金が軽減されています。
ただし税金のことだけでなく農業が継続できるのかどうかということも重要です。
例えば後継者が遠方でサラリーマンをやっている、あるいは仕事が忙しく農業まで手が回らないということもあるかも知れません。
長期的な視点で、農業を継続していくのか、転用して開発するのか、あるいは転売するのかといったことを考えておく必要があります。