『上手な離婚』の続きとして、離婚と税金にまつわる裁判例をいくつかご紹介します。
<財産分与に関する判例:ちょっといい話>
Aさんは、財産分与で自分が課税されるとは全く思っていませんでした。税務署から「税金払え」と言われて初めてそのことを知り、慌てて「ちょっと待った。そんなの知らんかった。この財産分与は無かったことにしてくれ。」と訴えました。
裁判の結果、Aさんの勝ち。
Aさんは、財産を貰った側(つまり奥さん)が課税されると思っており、実際に奥さんの税負担を気遣う発言をしていました。そこが決め手となり、「自分が課税されることを本当に知らなかった」と認められました。
<財産分与に関する判例:ちょっと大人げない話>
Bさんは、財産分与で自分が課税されるとは全く思っていませんでした。税務署から「税金払え」と言われて初めてそのことを知り、慌てて「ちょっと待った。そんなの知らんかった。これは財産分与じゃなくて贈与だ。」と訴えました。ちなみに、贈与の場合は貰った側(つまり奥さん)が課税されます。
裁判の結果、Bさんは負けました。
税負担を奥さんに押し付けようというその魂胆が裁判官の心証を悪くした、かどうかは知りませんけど。
<どっちの扶養?>
離婚後に子供をどちらの扶養親族とするかで、争われた裁判があります。
夫の主張は「養育費を送っているから自分の扶養だ!」です。
妻の主張は「一緒に暮らしているから自分の扶養だ!」です。
裁判の結果、妻の扶養とされました。理由は「妻の方が先に扶養控除等異動申告書を提出したから」です。
会社員の方なら「扶養控除等異動申告書」をご存知だと思います。年末になると、配偶者や子供の氏名・生年月日などを記載して、会社に提出する書類です。
それにしても、まさかの「早い者勝ち」です。皆さんも書類の提出はお早めに。