上手な離婚

posted by 2013.07.16

 本日のテーマは「離婚と税金」です。 
離婚するだけでもややこしいのに、その上税金のことまで考えなくてはいけない、となるとやっぱり離婚はしないに越したことはありません。そんな訳で、サブタイトルは「知って得する離婚にまつわる税金マメ知識」です。 

 

<財産分与と譲渡所得> 

 財産というのは、夫婦で築き上げたもの。例えその名義が夫であっても、そのうちの何割かは妻にも権利があります。そんな発想から、「財産分与」という制度ができました。離婚した場合、妻は夫に対して(その逆もありえますが)、財産を何ぼかよこせ、と請求できます。とりあえず、慰謝料とは別の話だと考えて下さい。 

 これになぜ税金が絡んでくるのかというと、例えば夫が妻に自宅を分与したら、税務上は夫から妻へ、自宅を「譲渡」したものと考えるからです。譲渡であれば、当然ながら譲渡所得として課税されます。夫としては、自宅を取られるわ、税金は払わんといかんわで、ダブルパンチです。 
学説では、「夫婦で築いた財産を清算するだけだから譲渡にはあたらない」という考え方が主流ですが、実務上は譲渡所得として課税されています。 

 

 それでは気になる財産分与の節税ポイント。 
まず、現金を分与した場合は課税されません。これは「譲渡所得の基因となる資産」から「金銭」が除かれているからです。手持ちの現金があるならば、現金を分与した方が税金分だけでも助かります。 

 

 続いて、自宅を分与する場合の節税ポイント。自宅を譲渡した場合には「3千万円特別控除」という特例があり、譲渡益から3千万円を引くことが出来ます。 
ただしこの特例は、配偶者に対する譲渡には適用されません。つまり、離婚届を出す前に分与してしまうと適用されない、ということ。自宅を分与するなら離婚届を出した後にしましょう。 

 

離婚と税金に関する判例がいくつかあるのでその紹介は明日に続きます。