株式評価 ⑥ 非上場株式(純資産価額)

posted by 2018.06.25

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 株式評価の6回目は非上場株式(取引相場のない株式)の続きです。

 次の4つのステップで評価していきますが、今回は③ 純資産価額の評価 を取り上げます。

① 評価方式の判定(原則or例外)
② 会社規模の判定(大中小)
③ 純資産価額の評価
④ 類似業種比準価額の評価

 

 純資産価額は簡単に言うと貸借対照表の「純資産の部」です。
ただこれは法人の決算のために作られた書類で取得原価主義を採用しているため、時価を反映しているとは言えません。
そのため、決算書の中身を時価ベースに評価替えしていくことになります。

 簿価と時価が変わる項目はたくさんありますが、特に影響が大きいのは次のものです。

<固定資産>

・土地 ①簿価:購入金額②時価:路線価評価※1
・建物 ①簿価:帳簿価額②時価:固定資産税評価額※1
・附属設備 ①簿価:帳簿価額②時価:0円※2

※1 三年以内に取得した土地や建物

購入金額をもって時価と評価します。
一般的に路線価評価や固定資産税評価額の方が購入金額より低い傾向にあります。そこで株価を下げるための不動産購入が行なわれたとしてもその効果を消すために購入金額(建物は償却後の帳簿価額)で評価することとしています。
逆に言うと不動産を買ってから3年後に株価はガクッと下がる可能性があるので贈与のチャンスと言えます。

※2 建物附属設備

自社物件であれば附属設備の価値は建物の固定資産税評価額に含まれます
他社物件に対する附属設備の場合は単独で売買できるような価値あるものではないため、評価はしません。

<株式>

・上場株式:市場価格で評価します。
・子会社株式:親会社と同じように評価しますが、法人税等を控除しない点が異なります。

<債務>

・基本は決算書のままです。
決算後に払う税金や死亡退職金も負債としてカウントできるので株価はその分下がります。

<法人税>

・時価純資産価額が簿価純資産価額を上回る場合はその分含み益があるということになります。
・株価はその時点で解散したものとしてピンポイントで評価するため、含み益に対する法人税37%を控除します。

<ポイント>

・決算書の純資産=時価ではないので資産負債の時価への置き換え作業が必要。
・不動産は買ってから3年は株価が高い。
・その時点で解散したものとして含み益への法人税を控除する。