事業承継サイトの設立

posted by 2018.03.1

778f98e06a8804694c8446bd8f26e0b0_s

 先日の日経に「事業承継、税理士が連携。顧問先企業の情報を専用サイトで交換」という記事がありました。

 事業承継は日本経済にとって重要なテーマで、ビジネスチャンスでもあるのでよくある記事かと思いきや、今までと違うのがその運営者。
金融機関やM&A仲介会社ではなく『日本税理士会連合会』がサイトを運営するとのこと。

 税理士は必ず各地の税理士会に所属しなければなりませんが、各地の税理士会を束ねる全国組織が『日本税理士会連合会』公的な意味合いの強い団体です。

 

 サイトの運用に関しては次のような流れとなる見通しです。

① 4月に税理士のみが閲覧できる事業承継の情報交換用サイトを設立。

② 税理士が顧問先企業から確認書を取り、情報入力(業種、所在地、売上等)。

③ 承継の希望があれば税理士を介してM&Aの交渉入り。

④ サイトの利用料は無料

 

 従来は公的機関では事業引き継ぎ支援センター、民間では金融機関やM&A仲介会社がマッチングを行なっていましたが、人気のある業種や都心部への偏り、数百万円の仲介料がネックとなって大量廃業に歯止めがかかっているとは言えないのが状況でした。

 

 昨年に北陸税理士会で試験的にサイトを導入したところ、数十件の承継が実現したため、全国へ広げていく運びになったようです。

 見方によっては民業圧迫のきらいもありますが、技術の伝承、雇用確保、経済活性化などの観点から事業承継は喫緊の課題であるということの裏返しであるかも知れません。

 税理士の一部には「事業承継は難しい」「顧問先が減ってしまう」という考えからM&Aに後ろ向きだという批判もあっただけに、税理士の側も変わっていかなければならないと言えるでしょう。

 

 相続税法においても4月から事業承継税制が10年限定で大幅に緩和されるだけに税理士の果たす役割はより重要になってくると考えられます。