役員給与シリーズ、今日は役員退職金です。
役員も従業員と同じように退職金をもらうことができますが、手続きと金額については注意が必要です。
まず手続きの前提として従業員とは別で『役員退職金規程』が必要です。
これがないと適当に決めたと扱われ、経費にするのは難しいでしょう。
規程の中で退職金の決め方を定め、それに基づいて株主総会(または株主総会から一任された取締役会)で決定します。
退職金の計算式は次のようなものが一般的です。
最終報酬月額×勤続年数×功績倍率
例:報酬100万円、勤続30年、功績倍率3.0
100万円×30年×3.0=9000万円
かなりの金額になりますが必ず規程通りに出さないといけないわけではありません。
その役員の貢献度などを考慮して株主総会等で相談して決めますので、規程の式は上限とも言えます。
計算式ですが作り方で支給額は大きく変わってきます。
① 最終報酬月額
退職直前は役員報酬が下がっている可能性もあるため、規程で”最高”報酬月額という設定も可能です。
② 勤続年数
1ヶ月未満、1年未満の端数処理も規程で定めます。
切り上げすると金額は増やせます。
③ 功績倍率
調査でもよくテーマになるところ。
2.0(非常勤)~3.0(代表取締役)ぐらいが判例で認められている範囲です。
この式とは別に特に貢献が大きい役員には功労加算金を上記の式で計算した金額+30%程度の範囲内で規程に定めて支給することもできます。
ただし、その30%を含めて高い安いを判断するので注意が必要です。
例えば倍率が3.0の代表取締役にさらに30%乗せると3.9になり高すぎると否認される可能性が高いです。
功労加算金は貢献度は大きいのに上記の式では反映できない場合に使うことがあります。
例えば何らかの事情で報酬月額を抑えていたとか、勤続年数が短い場合などです。
退職金については税金面のメリットも大きいです。
ただし役員特有の注意点もありますのでそれは明日へ続きます。