先週の続きで譲渡所得を申告する際の契約書とのずれについて見ていきます。
3.取り壊し費用
古い建物付きの土地を売る場合、建物を取り壊してから売るケースと買った人が取り壊すケースがあります。
買った人が取り壊す場合は当然取り壊し費用相当分は土地の売値から減らすことになります。
例えば土地そのものの価値が5000万円、取り壊し費用が500万円とします。
・売り手負担:売却金額5000万円、譲渡経費500万円
・買い手負担:売却金額4500万円
買い手は買った後で取り壊すのでその分売り値は下がることになります。
この場合だと正味の金額は4500万円で変わらないので特にずれはありません。
注意が必要なのは「空き家の3000万円控除」を使う場合です。
「空き家の3000万円控除」は社会問題化している空き家の処分をしやすくするために設けられた特例で、相続した空き家を売却した場合に譲渡益から3000万円を控除できるというものです。
主な要件は次の通りです。
・相続後3年経過する日の年末までに売却
・被相続人が亡くなる直前に一人で住んでいた家屋とその敷地が対象
・家屋が昭和56年5月31日以前建築で耐震工事が行なわれている、または取り壊している
・譲渡対価が1億円以下
3つ目の取り壊しは以前は売却前に売り手がすることが要件でしたが、改正により令和6年からは買い手が取り壊してもOKになっています。
その方がよりスムーズに売却が進むという実務面を考慮した改正と思われます。
土地の価値が1億500万円、取り壊し費用が1000万円とすると、買い手が取り壊す場合、売り値は9500万円になります。
ところがこの場合は「空き家の3000万円控除」の適用はありません。
4つ目の要件である”譲渡対価が1億円以下”は、実質的な価値で判断するとされているためです。
譲渡益を計算するところまでは売り手負担でも買い手負担でも同じなんですが、肝心の3000万円控除を使えないと税負担は大幅に増えてしまいます。
レアケースかも知れませんが税額への影響が大きいので注意するようにしましょう。


