トヨタが部品メーカーへの金型製作費の支払いを24回分割から一括払いに変更するというニュースが出ていました。
部品メーカーの資金繰りを改善し、経営体力を向上させることが狙いのようです。
この「金型」ですが、会計や税務処理においてやや特殊な部分もあるので解説していきます。
<基本>
・科目:10万円以上であれば「工具」として資産計上(30万円未満なら少額減価償却資産として一括経費化可能)※
・耐用年数:プレス金型、金属加工用金型、合成樹脂・ゴム・ガラス成形用金型、鋳造用金型は2年、それ以外は3年
・減価償却費:製造原価の中で計上
※ 一括償却資産?
10万円以上20万円未満である場合、一括償却資産として3年均等償却する方法もありますが、資産計上した上で定率法2年(償却率1.000)または定率法3年(0.833)で償却する場合に比べてかえって費用化に時間がかかるのであまり使われません。
<所有による違い>
・発注メーカーが所有して外注先に貸与(有償又は無償)する場合、自社で所有して製造する場合、共同所有する場合など様々なケースがありますが、会計処理は基本的に同じです。
・無償貸与を受けて製造している場合は特に会計処理はありません。
<支払い方による違い>
24回分割払いで受け取っていた金型代を一括に変更した場合に、変更時に全て収益計上すべきと税務署から指摘を受けて争った事例があります。
結論としては単なる売買契約ではなく、次の3つの混合契約であるため、前受金にして当初の24か月で収益計上した納税者の処理が適正とされました(令和5年12月21日裁決)。
① 部品の製造に係る準備として金型等を製作するという請負契約
② 委託した金型等の維持・管理に係る準委任契約
③ 製作した金型等について発注メーカーに一定の権利を付与する権利設定契約
<下請法との関連>
会計や税務ではありませんが下請法との関連で、次のような点で注意が必要です。
・口頭の指示だけでなく、協議の上で取引条件が書面化されているか。
・金型代金を分割払いにすることで下請先の資金繰りを圧迫していないか。
・金型の保管費用や廃棄費用が無償になっていないか。
・生産終了しているのに放置するなど保管期間が長過ぎないか。
・知的財産やノウハウに関する取り決めが書面化されているか。
様々な取引形態があるため、実情に応じた処理をすると共に、下請法との関連にも目配りするようにしましょう。


