永年勤続表彰

posted by 2023.09.20

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 少し前にサラリーマン増税の一環で退職金課税の強化が話題になっていました。
反発が大きかったため、一旦政府として否定はしていましたが、年末の税制改正大綱で出てこないとも限らず、引き続き注視していきたいと思います。

 

 退職金に関する税金には3つの軽減措置があります。

① 退職所得控除(勤続1年あたり40万円、20年以上は年70万円)

② 1/2課税(①の控除後、1/2にしてから課税)

③ 分離課税(他の所得と合算せずに税率適用)

 このうち①の「20年以上は控除額を70万円に拡大する」という部分の廃止が噂になっていました。
この制度があるがために無理して長居して、転職を阻害しているというよく分からん理屈でした。

 

 終身雇用は崩壊しているのかも知れませんが、長く働くことはそれはそれで従来通り評価されてもいいのではないか、ということで今回は「永年勤続表彰」について解説します。

 

 永年勤続表彰として支給される記念品や旅行招待等については次の要件を満たしていれば給与として課税されません。

(1)勤続年数や地位などに照らして、社会一般的にみて相当な金額以内であること

(2)勤続年数がおおむね10年以上である人を対象としていること

(3)同じ人を2回以上表彰する場合には、前に表彰したときからおおむね5年以上の間隔があいていること

 

(2)と(3)は数字で判断できるのでいいとして(1)はどう考えればいいのでしょうか。

 まず記念品や旅行などを想定しているため、現金だと給与課税されます。
商品券やカタログギフト自分で選べることから、給与としてもらってから好きなものを買ったと扱われ、給与課税されます。

 旅行券については、換金せずに確実に使っていれば給与課税されません。
具体的には1年以内に使い切る、会社に報告書や領収書等を提出するといった対応になります。

 悩ましいのは「社会一般的にみて相当な金額」の部分です。
常識的に考えると20年や30年といった勤続があれば、10~20万円の記念品や旅行は問題ないと思われます。
規約などを作成してルールに則って運用していることを説明できるとよりベターです。