ゴルフ場運営会社が合併に際して利用した繰越欠損金が租税回避にあたるとして50億円の申告漏れを指摘されたというニュースが出ていました。
基本的な要件は当然満たしていたはずなのでこの処分を不服として今後法廷で争っていくようです。
コロナ禍により経営環境が大きく変わり、繰越欠損金が発生しているケースや合併等の組織再編で最適化を図るケースもあると思います。
そこで繰越欠損金の取扱いについて改めて確認しておきます。
<概要>
赤字が出た場合に10年間繰り越して、その間の黒字と相殺できる制度。
<要件>
・欠損金が生じた事業年後が青色申告
・その後も毎年連続して確定申告書を提出(白色申告も可)
・帳簿書類等を適切に保存
<繰越期間>
・H30.4.1以後開始事業年度:10年
・H20.4.1以後終了事業年度: 9年
それ以前は7年、5年という時期もありました。
個人の場合の繰越期間の3年に比べると大幅に長く、法人設立のメリットの1つとなっています。
<大企業の使用制限>
中小法人以外は繰越欠損金をそのまま使うことができず、多額の繰越欠損金があっても少しは税額は発生します。
中小法人以外というのは、資本金1億円超や1億円以下であっても大企業(資本金5億円以上)の100%子会社である場合が該当します。
使える欠損金
・H24.4.1~H27.3.31開始事業年度:80%
・H27.4.1~H28.3.31開始事業年度:65%
・H28.4.1~H29.3.31開始事業年度:60%
・H29.4.1~H30.3.31開始事業年度:55%
・H30.4.1以後開始事業年度 :50%
合併等をした場合の繰越欠損金については一定の制限がありますが、それは次回へ続きます。