消費税の軽減税率導入に伴って事業者の事務手続きも変わります。
現行の消費税は税率が1種類であるため、課税か非課税かさえ判別できればよかったのですが、今後は8%なのか10%なのかを領収書などで明らかにする必要があります。
そのためには諸外国でも導入されている「インボイス制度」がシンプルで効率的です。
インボイス制度では請求書等に税率に応じた消費税が記載されているので、インボイスをひたすら足していけば消費税が計算できます。
ただこの制度はシステム整備などの負担が重いため、平成33年4月1日からの導入とされました。
それまでのつなぎの間(H29.4.1~H33.3.31)は仮の方法として「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。
<請求書等への記載事項>
・請求書発行者の名称
・取引年月日
・内容
・金額
・請求書受領者の名称(ここまでは現行制度と同じ)
・軽減税率のものに印
・税率ごとの合計金額
・請求書に明示されていなければ仕入れた側で追記も可能
<税額の計算方法>
現行と同じように税率ごとの取引総額に10/110及び8/108を掛けて計算
<税額計算の特例(売上の区分)>
① 卸売小売業(簡易課税の適用を受けない場合)
軽減税率対象商品の仕入の割合をそのまま売上に適用
② ①以外
連続する10営業日の売上実績から軽減税率の割合を計算
③ ①②とも困難な場合
50%
④ 適用可能期間
基準期間の課税売上高(2年前の売上)
5000万円以下…H29.4.1から4年間
5000万円超 …H29.4.1から1年間
<税額計算の特例(仕入の区分)>
① 卸売小売業(売上税額の計算特例及び簡易課税の適用を受けない場合)
軽減税率対象商品の売上の割合をそのまま仕入に適用
② ①以外
事後計算で簡易課税が選択できる(売上だけで仕入の消費税が計算可能)
基準期間の課税売上高が5000万円超の場合は簡易課税に準じた方法
③ 適用可能期間
H29.4.1から1年間
ややこしいのでまとめると次のようになります。
・卸内小売業は売上か仕入のどちらかで軽減税率分を区分すればOK
・売上に関しては10営業日実績か50%(4年間)
・仕入に関しては簡易課税制度で売上から計算(1年間)
<免税事業者からの仕入税額控除>
現行制度と同様に仕入れた側で消費税を控除できる。
インボイス制度のつなぎであるため、現行制度とインボイス制度の中間的な内容で経過措置も多くなっています。
インボイス制度は明日へ続きます。