昨日煽っといてなんですが、タワーマンション節税に関する明確な規定や改正は現時点では出ていません。
ただ国税庁の記者発表で”見解”が出されているのでそれをベースに解説していきます。
記者発表の見解は次の通りです。
「当庁として実質的な租税負担の公平の観点から看過しがたい事態がある場合には、これまでも財産評価基本通達6項を活用してきたところですが、今後も、適正な課税の観点から財産評価基本通達6項の運用を行ないたいと考えております。」
財産評価基本通達6項は何かというと
「この通達の定めによって評価することは著しく不適当であると認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」
何のこっちゃという感じですね。
一言でいうと「たとえ表面上合法であっても極端な節税が行なわれた場合にはバッサリ斬りますよ」といった感じです。
もうちょっと詳しく説明します。
相続財産を評価する基準として財産評価基本通達というものが公開されています。
これによると建物は固定資産税評価額、土地は路線価で評価するとされており、そのまま評価するとタワーマンションは大幅な節税になります。
そこで極端なケースでは通達によらず実態に応じて相続評価します、という意味になります。
では極端なケースとは何でしょうか。
過去において次のようなケースで否認されています。
- 亡くなる20日前に土地を購入、残代金支払いは相続後、時価は相続評価の2.2倍
- 亡くなる直前に借入でマンションを買い、亡くなった直後に売却して借入を返済、時価は相続評価の5.7倍
- 亡くなる直前にマンションを買い、利用することなく亡くなった4ケ月後に売却、時価は相続評価の5倍
これらの例に共通するのは節税ありきの短期的な取引であることと時価と2倍以上の差があるという点です。
どこからが短期かというと、過去(バブルの頃)の規定では3年以内に購入したものは相続評価ではなく買った値段で評価する、というものがありましたので一つの目安になるかも知れません。
次に実態に応じて評価するというのはどういうことでしょう。
単純に言うと実際に売れる値段”時価”ということになりますが時価は状況に応じて異なるので画一的に出すのは難しい面があります。
また時価(あるいは取得価額)と相続評価の差が2倍がダメで1.5倍はOKというような基準を作るのも難しいでしょう。
いずれにしても節税の線引きは難しくどこまでタワーマンションを狙い撃ちにできるのか不透明な面もあります。
今後の情報も随時発信していきたいと思います。