① 「太郎に土地Aを相続させる」
② 「太郎に土地Aを遺贈する」
遺言を書く場合、①と②では違いはあるのでしょうか。
遺贈とは「遺言により財産を無償で譲ること」を指すので同じ意味に見えますが効果は全く異なります。
①は②に比べて次のようなメリットがあります。
・不動産の場合、①はもらう者が単独で相続登記できるが、②は相続人全員の実印が必要。
・登録免許税が安い(①は0.4%、②は2%、但し相続人であれば同じ)
・遺産が農地の場合、農地法の許可が不要
・借地権を相続する場合、地主の承諾が不要
不動産に関して言うと全員のハンコがいるならもめてる場合は遺言の意味はあってないようなものです。
なぜ言葉一つでこんなに違うのでしょうか。
これは判例によるのですが①「相続させる」が遺産の行き先+遺産分割方法の指定までの意味を含んでいるためです。
そのため相続の瞬間に特に手続きをしなくても遺言の効果が発生します。
②「遺贈する」は特定の人に特定のものをあげるという限定的なニュアンスがあり、手続きのハードルが高くなります。
では全ての遺言に「相続させる」と書けばいいかというとそうとは限りません。
・相続人:「相続させる」「遺贈する」どちらも書ける
・相続人以外:「遺贈する」としか書けない(相続人でないため)
「遺贈」は相続人でなくても誰に対してもできることもあり、所有権移転のハードルが高くなっています。
公証人や弁護士などプロに依頼する場合は、相続人であれば当然のように「相続させる」という文章にしてくれますが、自筆で遺言を書いて自分で保管する場合は注意しましょう。