減価償却費ってバカになりません。
決算書の数字はもちろんのこと資金繰りにも影響します。
なぜ資金繰りに影響するかというとお金の出ていかない経費であるため、償却費分だけ会社にお金が残るためです。
減価償却費は意外と説明が難しい経費だったりします。
一言でいうと「長く使う資産を期間に応じて配分する仕組み」です。
減価償却費がないと資産を買った年は大赤字、使うだけの年は大黒字でいびつな決算となってしまいます。
減価償却費は次の要素で決まりますが、学問的な理屈より実利を中心に見ていきます。
① 取得価額はいくらか
② 耐用年数は何年か
③ 定率法か定額法か
① 取得価額はいくらか
償却の基礎となる取得価額ですが簡単に言うと買った金額です。
ただ手間をかけて細かく区分すれば一発で経費になるものもあり、その分は取得価額から外していきます。
例えば撤去費用や修繕費的なものなど価値を増加させないものは取得価額に含めず経費で落とします。
② 耐用年数は何年か
判断が微妙なのでどれを選択するかで償却費が大きく変わります。
例えば賃貸物件の内装。
原則は見積もりですが「その他のもの」として10年がよく使われます。
ただし小売店や飲食店での簡易な設備(取り付けた飾り棚や装飾を兼ねた造作など)は3年で償却することができます。
3年の場合、定率法なら1年目で2/3が償却費になりますが、10年なら2割なので償却費が3倍以上変わってきます。
また建物の賃貸期間の影響を受けることもあります。
耐用年数10年の内装をしたとしても建物の賃貸期間が5年で更新がなく買取請求もできなければ賃貸期間内で償却することになります。
退去せざるを得ないので当然と言えば当然ですが。
③ 定額法か定率法か
定額法は毎年同じ金額が償却費になり、定率法は最初が多く後半が少なくなります。
定額法は感覚的に分かりやすいですが定率法はなぜあるのでしょう。
定率法は稼働率が高く売上にも貢献する前半に多く償却し、メンテ費用が多くかかる後半に少なく償却します。
結果として経費は平準化され、売上にも対応しています。
建物は定額法のみですが内装、機械、車、器具備品はどちらも選べます。
どちらがベターというのはありませんが定率法の方が早く償却できるので節税になり、資金繰りにもプラスです。
法人の場合は大半が定率法を選択していますが個人は定額法のままというケースがよくあります。
商売の形態に応じて定率法の選択も検討しましょう。
結局何が言いたいかというと「よく分からんけど毎年経費になるんやな」ではなく、経営に大きく影響するので、内容を理解して有利に使っていきましょう、ということです。