資本金の壁 ⑤子会社編

posted by 2014.10.20

 自社の資本金が1億円なくても中小企業の優遇制度を受けられないケースがあります。
それは大会社(資本金5億円以上)の100%子会社である場合で、実質大会社と同じであるため、中小企業として扱ってもらえません。

(1) 貸倒引当金の繰入れ不可

銀行など一部の法人を除き、貸倒引当金の繰入れができません
ただし、平成27年3月31日まで開始する事業年度までは経過措置があります。

(2)繰越欠損金の圧縮

青色申告法人は損失を9年繰り越せますが、大会社及びその100%子会社は消化する時に80%分しかできません
つまり20%分には法人税がかかります。

(3)軽減税率

年800万円以下の所得に対する軽減税率15%の適用がなく、一律25.5%になります。

(4)留保金課税の復活

同族会社が配当や経費支払をせずに社内に溜め込んだ利益には10~20%の追加税率がかかります。
資本金が1億円以下は適用なしですが大会社の子会社には適用があります。

(5) 交際費等の損金不算入

中小企業なら使える800万円までの損金算入枠が使えません

(6) 欠損金の繰戻し還付

前期が黒字、今期が赤字なら前期の法人税が取り返せますが、大会社の子会社は適用がありません。 
ただし解散等のように”あとがない”状況であれば還付請求できます。

 

 少しマニアックな論点ですが、「中小企業なので大丈夫なはず」という思い込みでまちがえないよう気をつけたいところです。