自社の資本金が1億円なくても中小企業の優遇制度を受けられないケースがあります。
それは大会社(資本金5億円以上)の100%子会社である場合で、実質大会社と同じであるため、中小企業として扱ってもらえません。
(1) 貸倒引当金の繰入れ不可
銀行など一部の法人を除き、貸倒引当金の繰入れができません。
ただし、平成27年3月31日まで開始する事業年度までは経過措置があります。
(2)繰越欠損金の圧縮
青色申告法人は損失を9年繰り越せますが、大会社及びその100%子会社は消化する時に80%分しかできません。
つまり20%分には法人税がかかります。
(3)軽減税率
年800万円以下の所得に対する軽減税率15%の適用がなく、一律25.5%になります。
(4)留保金課税の復活
同族会社が配当や経費支払をせずに社内に溜め込んだ利益には10~20%の追加税率がかかります。
資本金が1億円以下は適用なしですが大会社の子会社には適用があります。
(5) 交際費等の損金不算入
中小企業なら使える800万円までの損金算入枠が使えません。
(6) 欠損金の繰戻し還付
前期が黒字、今期が赤字なら前期の法人税が取り返せますが、大会社の子会社は適用がありません。
ただし解散等のように”あとがない”状況であれば還付請求できます。
少しマニアックな論点ですが、「中小企業なので大丈夫なはず」という思い込みでまちがえないよう気をつけたいところです。