赤字でも払う税金として府や市への均等割がありますが、資本金が1億円超であれば事業税も発生します。
本来、事業税は儲けに対してかかる税金です。
ただ儲けは景気変動の影響を受けるので都道府県の税収は不安定になります。
そこで例え赤字でも行政サービスを受けているのでもうちょっと負担してもらおうということで外形標準課税が平成16年に導入されました。
外形標準課税は3つのベースから成り立ちます(税率は大阪府のケース)。
① 資本割
(資本金+資本積立金)✕0.21%
資本金は会社の規模を表わすという考え方から資本金が大きければ税額も増えます。
② 付加価値割
{ (報酬給与額+純支払利子+純支払賃借料)+単年度損益 }✕0.504%
会社が生み出した付加価値は経済活動の大きさを表わすことから付加価値に課税しています。
なお人件費の割合が高い法人は雇用安定控除という調整計算により税額を軽減しています。
これは外形標準課税が人件費を圧縮する動機づけになっては困るので設けられた措置です。
③ 所得割
所得✕1.69%~3.26%
外形標準課税がない法人の場合の所得割の税率は2.95%~5.78%です。
外形標準課税がある場合の所得割は①②がある分、低く設定されています。
実際に計算してみましょう。
例:大阪府にある資本金1億円、利益0万円、人件費3億円、家賃1億円、利息5000万円の法人の場合
① 資本割
2億円✕0.21%=42万円
② 付加価値割
(3億円+1億円+5000万円)✕0.504%=226.8万円
③ 所得割
0万円✕3.26%=0万円
④ 合計
268.8万円
これが資本金1億円以下であれば所得割のみなので税額は0円、外形標準課税により税負担は268.8万円増えます。
現在、中小企業にも外形標準課税を拡大しようと検討されていますが、片や給料を増やそうという政策があるため、人件費に課税する外形標準課税の中小企業への拡大は見送られる方向です。
ただし大企業向けには税率を上げるなど負担を増やす案も検討されています。
赤字法人にも行政サービスに応じた負担を、という趣旨は分からないではありませんが企業活動をゆがめない制度であって欲しいものです。