資本金の壁 ③1億円

posted by 2014.10.16

 資本金によって税制が最も変わるのは1億円です。
これは税務上、中小企業者の定義を資本金1億円以下としているためです。
1億円を境に次のような違いがあります。

1.法人税率が低い

中小:800万円以下の部分は15%
大 :一律25.5%

2.交際費の損金不算入割合

中小:800万円まで経費になる
大 :全額経費にならず。ただし他社との飲食費であれば半分経費に

3.少額減価償却資産の損金算入

中小:30万円未満の投資が経費になる(合計300万円まで)
大 :適用なし

4.同族会社の留保金課税がない

中小:適用なし
大 :利益を内部留保した場合に法人税が追加で10~20%かかる

5.法人税の繰戻し還付が使える

中小:前期黒字、今期赤字なら前期の法人税を取り返せる
大 :適用なし

6.各種特別償却・税額控除が使える

中小:中小企業投資促進税制、人材投資促進税制などほとんどが中小限定
大 :適用なし

7.貸倒引当金の法定繰入ができる

中小:貸倒れ実績なしで法定繰入率で経費化できる
大 :貸倒れ実績に対応する分しか引き当てできない

8.法人住民税の均等割が低い

中小:大阪府・大阪市・50人以下で20.5万円
大 :大阪府・大阪市・50人以下で42万円、50人超で66万円

9.調査の管轄が変わる

中小:税務署が調査に来ます
大 :国税局が調査に来ます。厳しいです。

10.事業税の外形標準課税がかからない

中小:適用なし
大 :赤字でもかかる事業税の外形標準課税がある。

10の外形標準課税の影響はかなり大きく、税制改正でもテーマに挙がっている項目です。
詳細は明日へ続きます。