退職金の税金は従業員と同様、役員であってもかなり優遇されています。
但し役員特有の注意点もあります。
メリット① 退職所得控除
次の金額を退職金の額から控除できます。
勤続期間20年以下…1年当たり40万円(最低80万円)
勤続期間20年超 …800万円+70万円×(勤続期間-20年)
まとめると どんなに短くても80万円は引けて、20年を超えると1年当たりの控除額が40万円→70万円に増えます。
例えば30年勤務なら、800万円+70万円×(30年-20年)=1500万円となり、そこまでは所得税も住民税も0円です。
給料なら1500万円もらうと1255万円が課税対象なので大きな差です。
メリット② 1/2課税
メリット①で計算した退職所得控除を引いてまだ残がある場合には、その金額に1/2をかけます。
実質税金は半分になりますので税率はどんなに高くても所得税と住民税を合わせて25%ということになります。
メリット③ 分離課税
所得税はもうけが多いほど税金は5%から40%(+住民税10%)まで上がっていきます。
まとまった金額をもらうだけに退職金の税金も心配なところですが、他の所得とは合算せずに退職金だけ分離して税率をかけるので、比較的税率は低くなります。
メリット④ 株価の引き下げ
同族会社の場合、株式は相続財産の中でもウェートが大きいですが、死亡退職の場合、死亡後に支給する退職金も会社の財産から減らして株価を計算することができます。
何かと税金が優遇される退職金ですが、そのため給料を少なめにして退職金を多くもらおうとする人も出てきます。 最たる例が”天下り”です。
そのため改正が入り、平成25年からは勤続5年以下の役員の場合、メリット②の1/2課税が使えなくなりました。
税金が倍変わるので勤続期間がきわどい場合は注意しましょう。
なお従業員の退職金についてはこの改正は関係ありません。
今週は役員の給与から始まって賞与、退職金について見てきました。
従業員に比べると何かと規制はありますが、その分工夫する余地があるとも言えます。