再び「良い戦略、悪い戦略」④最終回

posted by 2013.05.23

今回は悪い戦略から少し趣向を変えて「成功すると考えたら成功するのか」という点です。

いわゆるポジティブ・シンキングの源流は、プロテスタントの個人主義にあります。19世紀のアメリカで始まったプロテスタント改革では、神と個人の間に教会は必要ない、と主張されました。

なぜなら、どんな人でも内なる神性をもっており、個人が神と直接対話することが可能だから。 この宗教哲学は、信念は現実世界に影響を及ぼす力がある、という神秘思想へと変化しました。

つまり、成功すると考えたら成功するし、失敗すると考えたら失敗する、ということ。20世紀に入ると、「宗教」を抜き取って世俗的な成功を導く考え方へと変化し、モチベーションやポジティブ・シンキングへと受け継がれました。

勇気、意欲、根性、努力、これらに価値がないとまでは言いませんが、精神が現実の世界を変えるとか、成功すると思えば成功する、と信じるのは妄想であり、経営への取り組み姿勢としてはお勧めできません。経営者の仕事は、勇気や根性を発揮する価値がある戦略を立てることであると言えます。