変わる?税務調査

posted by 2013.04.29

 日常の税務処理にどんなに自信があっても税務調査と聞くだけで気持ちが重くなるのはどうしてでしょう。 いつ来るかも、何をどこまで見られるのかもわからない恐怖感がそうさせているのだと思います。 そこで、納税者の心理的不安を少しでも和らげるために今まで税務署の裁量に委ねられていた税務調査手続を法定化し、納税者が税務調査の適法性をチェックできるように平成25年1月から改正されています。

 
まず、税務調査の流れを確認します。
 
【調査対象の選定】 【事前通知】 【実地調査】【終了・処分
 
この流れ自体に変更はありませんが、【事前通知】【終了・処分の手続きが明確化されます。
 
①【事前通知】の原則義務化
従来、事前に通知するかしないかは税務署の裁量に委ねられていました。突然会社に税務職員が押しかけてきた経験がある方もいらっしゃるかも知れません。今後は、『場所』『税目』『期間』など細かく事前に通知することが必要となりました。ただし、証拠隠滅などが疑われる場合は、今後も事前通知なしで調査できるとなっています。
 
②【終了・処分】の明確化
従来、修正申告するほどではないが軽微な誤りがあるような場合には、指導事項があったとして『是認通知』は行われませんでした。しかし、今後は『修正申告等』または『是認通知』のいずれかしかありません。また、修正申告等の理由も説明が義務付けられます
 
以上、納税者的にはあまり大きな変更は無い様に感じます。 しかし、税務署的には裁量の余地が減少する分、税務調査の遂行に柔軟性が無くなり、事務作業も増えるため調査件数が減るかも知れません。これが一番のポイントかも・・・
納税者の権利保護を目的にした改正ですが、明確化してしまったことにより懸念されることもあります。
 
①調査準備資料の増加による負担増
調査対象期間も事前通知が必要になります。 つまり、税務職員は『とりあえず3期分準備しておいて下さい』なんてあいまいなことは言えません。 『5期分準備してください』となると思われます。
②軽微な修正申告の増加
調査の終了は『修正等』または『是認』のいずれかしかありません。 つまり、税務職員は『まぁ金額も小さいですし、わざわざ修正せんでもいいですわ』 なんてあいまいなことは考えません。 今後はわずかな金額であっても、税額に影響がある以上は『修正等』が求められるかも知れません。