日常の税務処理にどんなに自信があっても税務調査と聞くだけで
まず、税務調査の流れを確認します。
【調査対象の選定】 ⇒ 【事前通知】 ⇒ 【実地調査】 ⇒ 【終了・処分 】
この流れ自体に変更はありませんが、【事前通知】と【終了・処分 】の手続きが明確化されます。
①【事前通知】の原則義務化
従来、事前に通知するかしないかは税務署の裁量に委ねられてい ました。突然会社に税務職員が押しかけてきた経験がある方もいら っしゃるかも知れません。今後は、『場所』『税目』『期間』など 細かく事前に通知することが必要となりました。ただし、証拠隠滅 などが疑われる場合は、今後も事前通知なしで調査できるとなって います。
②【終了・処分】の明確化
従来、修正申告するほどではないが軽微な誤りがあるような場合 には、指導事項があったとして『是認通知』は行われませんでした 。しかし、今後は『修正申告等』または『是認通知』のいずれかし かありません。また、修正申告等の理由も説明が義務付けられます 。
以上、納税者的にはあまり大きな変更は無い様に感じます。 しかし、税務署的には裁量の余地が減少する分、税務調査の遂行に 柔軟性が無くなり、事務作業も増えるため調査件数が減るかも知れ ません。これが一番のポイントかも・・・
納税者の権利保護を目的にした改正ですが、明確化してしまった ことにより懸念されることもあります。
①調査準備資料の増加による負担増
調査対象期間も事前通知が必要になります。 つまり、税務職員は『とりあえず3期分準備しておいて下さい』な んてあいまいなことは言えません。 『5期分準備してください』となると思われます。
②軽微な修正申告の増加
調査の終了は『修正等』または『是認』のいずれかしかありませ ん。 つまり、税務職員は『まぁ金額も小さいですし、わざわざ修正せん でもいいですわ』 なんてあいまいなことは考えません。 今後はわずかな金額であっても、税額に影響がある以上は『修正等 』が求められるかも知れません。