遺産分割

posted by 2016.01.5

(1)遺産分割の方法

相続が開始すると被相続人の残した財産は、相続人が複数人いる場合、相続人全員の共有となります。

遺産分割とは、共有となっている財産をどのように分けるか決めることです。

相続人が単独の場合は、その人が全ての財産を相続します。

遺産分割の方法としては、指定分割・法定分割・協議分割・調停分割・審判分割とあります。

遺産分割図

                             

(2)遺産分割の種類

 ①現物分割

最も一般的な方法で、相続財産をそのままの形で分割する方法です。例えば相続財産が土地A・Bとあり、Aは妻へ、Bは子へと分ける方法です。

 

②代償分割

ある相続人が相続財産を単独取得し、代わりに他の相続人に対価を支払う方法です。例えば、相続財産が土地しかなく現物分割が難しい場合、土地を妻がもらい子の相続分は、妻から子へ金銭を支払うという方法です。

 

③換価分割

相続財産を売却して、その売却代金を相続分に応じて分配する方法です。ただし、譲渡益が出ている場合は、所得税がかかります。

 

④共有分割

相続財産を相続人全員あるいは一部で共有する方法です。手続きは一番簡単ですが、将来売却などの場合は相続人全員の合意が必要であり、共有者が亡くなられている場合は、その相続人の合意が必要です。

  

(3)遺産分割協議の進め方

遺産分割は、遺言で分割が禁止(効力は5年)されていない限り、相続開始後いつでもすることができます。また、いつまでに決めなければいけない、という期限もありません。

分割協議は、必ず全員が揃って話し合いをする必要もなく、電話等での話し合いや手紙のやり取りでの話し合いでもかまいません。

相続人の中に未成年者がいて、親権者も相続人であるときは、その親権者はその未成年の法定代理人となることはできません。この場合は、家庭裁判所特別代理人の選任を申立て、特別代理人を含めて協議をしなければなりません。

 

(4)遺産分割協議書の作成

遺産分割に全員の同意が得られると、直ちに遺産分割協議書を作成します。

この協議書には相続人全員が署名し、実印を押印します。(相続人の中に特別代理人等がいる場合はその特別代理人等が署名・押印します。)

遺産分割協議書の作成は強制ではありません。しかし、所有権移転登記や、預金の引出しの際に遺産分割協議書が必要となります。後日、相続人間の争いを避けるためにも作成するほうが良いです。また、協議書の原本は相続人全員が保管できるように部数にも注意が必要です。

 

(5)分割協議が整わない場合

相続人全員の同意が得られず分割協議が整わない場合、各相続人は家庭裁判所に調停を申し立てることが出来ます。

調停とは、裁判官などの第三者が間に入ってアドバイスを行い、当事者間の話し合いで解決を図ることです。調停が成立の場合、調停分割となり判決と同一の効果を有する調停調書が作成されます。調停が不成立の場合、裁判所の強制的な審判分割となります。

税務上では申告期限までに遺産分割が確定していない場合、未分割財産を法定相続分で分割したものとして申告を行い、各相続人が相続税を納付します。その後、遺産分割が整った時点で、相続税の還付や納付をすることになります。

また、未分割財産には、配偶者に対する相続税の軽減、小規模宅地の評価減、特定事業用資産の特例が適用できず、また物納・売却が出来ません。