遺言

posted by 2016.01.5

 遺言とは、自分の死後に法律効果を発生させるための、最終の意思表示です。

遺言は本人の死亡後に効力を発するものであるため、それが本当に本人の意思であったかどうかの確認ができません。

そのため、遺言には厳格な方式が定められており、その方式に従わない遺言は無効となります。

 

(1)遺言の種類

遺言には普通方式特別方式があり、普通方式はさらに 「自筆証書遺言」 「公正証書遺言」 「秘密証書遺言」 の3種類に分けられます。

特別方式は瀕死の病人が遺言を残す場合など、危急の際に用いられるもので、一般的なものではありません。

 

遺言の種類

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

 

概要

遺言者が遺言書の全文、日付、氏名を自筆で記述し、押印する方式

公証人が証書を作成する方式(公証役場を訪問して作成するほか、公証人に出向いてもらうことも可能)

遺言者が遺言書を作成し、封印後、公証人と証人に提出し、自分の遺言であることの証人になってもらう方式(代筆やワープロ打ちも可能だが、遺言者自身の署名と押印は必要)

 
 
 
 
 
 

証人

不要

2人以上

2人以上

 

署名押印

本人のみ

本人、公証人、証人

本人、公証人、証人

 

印鑑

認印で可能

本人は実印、証人は認印で可能

本人は遺言書に押印した印鑑、証人は認印で可能

 
 

保管

遺言者が保管

公証人が保管し、遺言者は謄本を保管

遺言者が保管

 
 

検認手続き

家庭裁判所の検認が必要

検認不要

家庭裁判所の検認が必要

 

長所

最も簡単で費用も安い

紛失や偽造・変造の恐れがない

内容が秘密にできる

 

内容が秘密にできる

 

 

短所

紛失や偽造・変造の恐れがある

公証人や証人に遺言の内容を知られてしまう

紛失の可能性がある

 
 

方式通りでないと無効になる可能性がある

公証人の手数料がかかる

公証人の手数料がかかる

 
 

 

 

 

(2)検認について

検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、加筆訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にし、その偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

遺言書(公正証書による遺言を除く。)の保管者又は発見者は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して,その「検認」を請求しなければなりません。また、封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いの上で開封しなければならないことになっています。