一次相続と二次相続のトータルの税額で遺産分割を考えましょう、という話は前々回書きましたが、一次と二次でどう振り分けたらいいのでしょうか。
考え方の一つとして前回書いた”小規模宅地等の評価減”を受けられるかどうかというのもありますが、もう一つ”贈与しやすいかどうか”というのもあります。
一次相続で配偶者軽減を使って相続税を安くした場合、そのまま置いておけば二次相続の際に配偶者固有の財産と合算されて相続税が大きくなります。
そこで一次相続と二次相続の間に贈与により財産を減らします。
贈与するのは『贈与にコストがかからないもの』と『価値が今後上がるもの』が有効です。
<贈与にコストがかからないもの>
〇 現金預金
振込だけで可能。計算も容易。
相続人でない孫に贈与するのも相続時に加算が不要なので有効。
✕ 不動産
不動産取得税や登録免許税がかかります。計算も手間。
<価値が今後上がるもの>
〇 自社株
経営が安定している場合には今後利益により株価が上がります。
また役員退職金を支給した場合には3年間株価が下がるので贈与のチャンスです。
▲ 上場株式や不動産
予想するのは難しいですが、上昇が見込まれるのであれば早めに贈与すればメリットがあります。
一次相続、二次相続、贈与と連立方程式を解くような複雑さはありますが、対策の積み重ねにより相続税額は大きく変わりますので専門家とともにご検討下さい。