国税庁から29日に個人の申告状況が発表されました。
所得税はほぼ横ばいでしたが贈与税は件数、税額とも大幅に伸びています。
件数:49.1万人⇒51.9万人へ2.8万人(5.6%)増加
税額:1718億円⇒2803億円へ1084億円(63.1%)増加
過去の傾向を見ると平成20年を底に件数は右肩上がり、税額も増加傾向です。
これは平成27年1月からの相続税増税を踏まえた対策や景気対策の意味合いもある贈与税軽減の影響と考えられます。
もう少し中身を細かく見てみます。
暦年課税:43.9万人⇒47万人へ増加
相続時精算課税:5.2万人⇒5万人へ減少
住宅取得資金贈与:7.5万人⇒6.5万人へ減少
110万円まで非課税になる暦年課税は手続きが簡単なこともあり、年々増加しています。
110万円以下で贈与して申告していない人も含めるとさらに増加していると考えられます。
相続時精算課税については贈与しても相続時に足し戻す必要があることから、相続税増税で申告が必要な人が増えたことでかえってメリットが縮小したと言えるかも知れません。
住宅取得資金贈与については限度額がここ3年下がっていることも件数減少の原因となっていると考えられます。
消費税の10%引上げに向けて限度額が上がるので今後増加する可能性があります。
相続税対策を考える場合には、やみくもに110万円贈与をするだけでなく、相続税を試算した上で住宅取得資金贈与、配偶者の2000万円贈与、教育資金贈与なども組合せて時間軸も考慮していく必要があります。