遺言に関してこんな質問をいただくことがあります。
「遺言が2つ出てきたらどっちが優先すんの?」
「書き直したら前のはどうなんの?」
「遺言に書いたものを売った(贈与した)んやけど…」
まず2つ出てきた場合ですが、新しいものが優先します。
遺言は一度書いてしまうと、亡くなった場合は故人の遺志として強力に尊重されます。
ただし人の気持ちは当然変わります。
そこで法律的には「遺言を取り消すには遺言の形式による」と定められています。
書き直した場合ですが、「全財産をAにあげる」を「全財産をBにあげる」に変えた場合は分かりやすいですが、部分的に変えた場合はどうなるのでしょう。
この場合は変わった場所だけが変更になり、それ以外の場合は前の遺言が有効です。
同じような理屈で、遺言に書いたものを売ったり、贈与した場合にはその部分だけが取り消され他の部分は依然として有効です。
何度も書き直した場合は、一体どの内容が有効か分からなくなってくるので、新しい遺言の中で一旦前の遺言を全部取り消すことがあります。
「平成○○年○○月○○日作成の遺言は全部取り消す」というように書きます。
気持ちももちろん変わりますが、財産の状況も変わります。
財産の状況が変われば遺留分(遺言がある場合の相続人の最低の取り分)も変わりますので、一度作ったからと安心せず、定期的な見直しをお薦めします。