続・税法は悪くない

posted by 2014.05.1

 またまた配偶者控除について。
「配偶者控除は不公平だ」という記事を読んだので。

 所得控除にも色々ありますが、「人的控除」といわれるものは、所得税では38万円が基本となっています。
配偶者控除は38万円、扶養控除も扶養一人当たり38万円、基礎控除も38万円
なぜ38万円なのかというと、税務署は1年間の生活費を一人当たり38万円と考えているから。
これは最低生活費の保障なのです。
最低限の生活費は手元に残るようにしてあげよう、38万円までは課税しないでおこう、ということで人的控除は38万円が基本となっています。

 最低生活費の保障ですから、養うべき人が増えれば控除額も増えます
独身の間は自分一人を養えばいいから、基礎控除のみ38万円の控除。
結婚して配偶者を養うことになりました。基礎控除と配偶者控除で76万円の控除。
子どもが生まれ、養うべき人がさらに増えました。基礎控除と配偶者控除と扶養控除で114万円の控除。(※16歳未満の扶養控除は現在廃止されています)
「給料は同じなのに、あいつのところは子供が多いから俺より税金が安くなっている」と文句を言う人はあまり見かけません。
扶養控除を不公平だと思う人は少ないようです

 では、配偶者控除は本当に不公平なのか。
「最低生活費の保障」という点から考えると、共働き世帯も専業主婦世帯も平等です。
妻が専業主婦の場合、夫の所得からは基礎控除と配偶者控除の76万円が控除されます。
妻が働いている場合、夫は配偶者控除の適用が受けられないので、人的控除は基礎控除の38万円だけです。
しかし、妻も自分の所得から基礎控除38万円が控除されますので、世帯として比較すると、どちらも2人分(76万円)の最低生活費が保障されています。
平等ですよね。

 憲法では「健康で文化的な最低限度の生活」が保障されています。
それを税制の面から支えているのが配偶者控除などの人的控除です。そしてそれは平等です。

 配偶者控除見直しの記事を読んでいると、年金や非正規雇用、国の財政、待機児童、親の介護など様々な論点が出てきます。
確かに納得できる点もあるのですが、これだけは断言出来ます。
税法は悪くない

追伸:税法自体は悪くないのですが、他の色々なことが良い方に変わるためのきっかけ作りとして、税法を変えるのはありだと思います。