消費税は受け取った分から支払った分を引いて差額を国に納めるのが原則です。
しかし事務負担が大きいことから中小企業(課税売上げ5000万円以下)向けに簡易課税制度が設けられています。
簡易課税制度では実際にかかった消費税ではなく、業種ごとに決まった仕入率によって消費税を計算します。
この仕入率をみなし仕入率と言いますが、従来の区分は次のようなものです。
①卸売業 :90%
②小売業 :80%
③製造・建設業 :70%
④その他(飲食・金融):60%
⑤不動産・サービス業 :50%
みなし仕入率は利益率を元に決まっていますが、実態と見合ってないケースがあり会計検査院も指摘していました。
実際よりみなし仕入率の方が高いと払う消費税が少なくなり、”益税”と呼ばれる状態になります。
増税で国民全体に負担を求める以上、得する人がいるとまずいということで改正ということになりました。
④のうち金融・保険業:④⇒⑤に変更(60%⇒50%)
⑤のうち不動産業 :⑤⇒⑥へ分離(50%⇒40%)
例:不動産業
<改正前>
売上げ:3000万円×消費税8%=240万円
仕入れ:240万円×50%=120万円
納付額:240万円-120万円=120万円
<改正後>
売上げ:3000万円×消費税8%=240万円
仕入れ:240万円×40%=96万円
納付額:240万円-96万円=144万円(24万円の増税)
従来は受け取った消費税のうち半分を国に納める計算でしたが、6割を国に納めることになります。
なお改正時期は平成27年4月1日以後に開始する課税期間なので、8%から10%へ上がる直前の時期となります。
消費税は「儲けから払うものでないこと」「まとめて払うこと」から資金繰りが難しい税金ですが、金融・保険、不動産業の場合は税率+αの増税になりますので資金繰りにも注意が必要です。