不定期連載 関根稔先生の「税理士のための百箇条」を読み解きます。
第3条 税法は理屈の学問
やっぱり賢い人は言うことが違います。
関根先生は「税法を暗記する必要は全くない。理解すればよい」とおっしゃいます。
税法は「理屈だけで構築されたガラスの城」だと。
「基本理論を理解すればおのずから答えが出てくるのが税法」だと。
受験勉強を終え、勉強したことを実務で活かす立場になってみると、確かにその通り。
でも税理士試験に受かることを考えると、やっぱり暗記が重要です。
本当に、半端じゃない量を暗記しますよ。
専門学校には暗記用テキストなるものがあります。
例えば法人税の「外国税額控除」の項目を見てみると、制度の趣旨から仕組み、申告要件などが約1200字にまとめられております。
これを覚えるんです。
「内国法人が各事業年度において外国法人税を納付することとなる場合には~」と、延々続く条文を原稿用紙3枚分、覚えるんです。
一つの項目で原稿用紙2~3枚になり、法人税の暗記用テキストには100項目ぐらい載っています。
100項目のうちの30項目覚えて合格する運のいい人もいますが、私は自分の運の悪さに自信があったので、かなりの量を覚えました。
なぜ覚えるのかって?
税理士試験には電卓しか持ち込めないからです。
税務六法は頭の中に収めて持っていくしかないんです。
「外国税額控除とは?」という問題が出たら、覚えた条文をひたすら書きます。書き殴ります。
税理士試験は別名「速記試験」とも言われており、考えているヒマはありません。
考えながら書いていては時間が足りません。だから覚えておくしかないんです。
「考えなくても手が動く」というのが税理士受験生の目指すエルドラドです。
ちなみに、この章での関根先生の主張は「税法を暗記の学問とする誤解は、税理士と税法の地位をおとしめるだけの勘違いでしかない」という真面目なものです。
受験生の苦労などは述べておられませんので、くれぐれも誤解の無きようお願いします。