相続税増税が近づいてきました。
土地の上に建物を建てて相続税を安くしよう、という動きもありますが、相続税はどれだけ安くなるのでしょうか。
建て方による評価額の違いを整理しておきます。
借地権割合※は60%とし、建物を他人が使う場合を前提とします。
下がった金額に相続税の税率(10%~55%)をかけたものが相続税の軽減効果です。
①土地:地主 建物:地主 →18%減
②土地:地主 建物:他人 →60%減
③土地:地主 建物:地主の不動産管理会社 →20%減
※借地権割合とは
借地権とは土地を借りて使用する権利のことを言います。
土地全体を100%として、そのうち借地権が占める割合を「借地権割合」と言います。
借地権割合は地域によって決まっています。都会であれば使用する値打ちが高い(稼げる)ので割合は高く、郊外へ行けば割合は低くなります。
相続税の考え方は、上にモノが建ったら拘束されて自由に使えない。だから価値が下がったと考えます。
そういう意味では②他人に建物を建てさせた場合が立ち退きも難しく、強く拘束されていて価値が低いと考えます。
①は建物は自分で建てて、建物を使用する権利だけを他人に与えているので②ほどは価値が下がっていません。
③は自分の会社なので、いざとなったら立ち退いてもらえます。そのため②ほど評価は下がりません。
実際の売買では”拘束されているかどうか”より、その土地で”どれだけ稼げるか”が値段を決める上での大きな要素になります。
極端な例で言うと、相続税の計算上は更地が最も価値がありますが、売買や運用においては使いようがない更地は価値が低くなります。
土地の評価は見方によって大きく変わります。