金融検査マニュアル・別冊②

posted by 2013.04.16

 金融機関は、貸出先をその返済能力等に応じて「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に区分します。このように区分することを「自己査定」といいます。
金融検査では、この自己査定が正しく行われているかをチェックします。もし、自己査定で「正常先」に区分していた貸出先が、金融検査で『こんなの「破綻懸念先」だ』と言われたら大変です。引当金を積み増ししなければいけません。

引当金を積む」というのは、将来発生する損失の見込み額を当期の損失として計上することです。例えば、「正常先」への貸出しが全部で100億円あるとして、「正常先」への貸出しが回収不能になる確率が2%だとすると、100億円×2%の2億円を当期の損失として予め計上しておきます。
回収不能となる確率は各金融機関が独自に計算していますが、だいたい「正常先」で0.2%、「要注意先」で5%、これが「破綻懸念先」だと60~70%だそうです。つまり、「破綻懸念先」に10億円貸したら、同時に7億円の損失を計上しなければならない、ということです。
そんなところに銀行がお金を貸す訳ありません。お金を借りたいなら、最低でも「要注意先」ぐらいの区分にならないと無理です。
(つづく)