アマゾンは消費税を払うのか ③

posted by 2017.09.12

92f878c1a989c283d9b0849ee5691d3f_s

 海外からのサービスに係る消費税の改正の3回目は「リバースチャージ方式の導入」です。

 何が逆(リバース)かと言うと消費税の申告をする人が逆になります。
通常は資産の譲渡やサービスの提供をした事業者が消費税を預かって申告しますが、ネットを通じた国外からのサービスの提供に関してはサービスの受け手である国内事業者が申告・納税を行ないます。

 なぜこんな仕組みにしたかと言うと海外の事業者から消費税を徴収するのが難しいので支払う側で天引きしてもらおうという発想です。

 ただ一般消費者は元々申告しないので消費者向けサービス(電子書籍や音楽配信などBtoC取引)はリバースチャージ方式の対象外となり、従来通り国外事業者が日本の税務署に申告することになります。

 

 事業者向けサービス(BtoB取引)についてはリバースチャージ方式の対象となり、国内事業者が消費税を負担するのですがこれがちょっと変な仕訳になります。

<例>
10万円の広告費をGoogleに支払

<従来>
(広告費・不課税)10万円(現預金)  10万円

<改正後>
(広告費・課税) 10万円(現預金)  10万円
(仮払消費税)   8千円(仮受消費税) 8千円

 広告費を払うこと自体は経費なので仮払消費税が発生し、同時に国外事業者の売上を10万円認識するので仮受消費税も同額発生します。
ということは結局プラスマイナス0で負担はありません

 

 じゃあこんな制度意味があるの?と言いたいところですが意味はあります。
仕入や経費の消費税を全額控除できるのは理論上、課税売上割合が100%(実際には少し余裕を見て95%以上)の場合です。
しかし家賃収入など非課税の売上が5%以上あれば仕入れの消費税を全額控除できず課税売上割合に応じて控除します。

 そうなると改正後の仕訳の意味が変わってきます。
例えば課税売上割合が50%の場合、売上げの消費税は8千円で変わりませんが、仕入れの消費税は半分の4千円しか引けず納税負担が4千円発生します。

 普通に商売していて課税売上割合が95%未満というのはレアケースですが土地の売却などで急に割合が下がるようなケースもあり得るので、微妙な場合は国外事業者からのサービスの提供について区分して経理しておくのがベターです。

 

 次回は国内事業者が消費者向けサービスを利用した場合について見ていきます。