平成29年度税制改正大綱 ②配偶者(特別)控除

posted by 2016.12.13

kabe_tachimukau

 「103万円の壁」がついに壊れました。
年収150万円までは配偶者控除で38万円引ける、というイメージですが制度上は配偶者控除はやや縮小され、配偶者特別控除は拡大されます。
これによりパート主婦世帯は減税となりますが、夫の所得が高い専業主婦世帯では増税となります。

 

<改正前>

① 配偶者控除

合計所得金額が38万円(給料のみなら103万円)以下…38万円

給料が年103万円の場合、給与所得控除(サラリーマンの概算経費)で65万円引けるので所得(儲け)が38万円となり控除対象となります。

 

② 配偶者特別控除

年収が103万円を超えた途端に控除が0になるのを防ぐための調整控除。
103万円を超えてから年収増に応じて控除額が38万円から徐々に減っていき、年収141万円以上で0円になります。

 

<改正後>

① 配偶者控除

配偶者の基準はそのままで、居住者(例:夫)の所得が高ければ控除額が圧縮されます。

合計所得金額900万円以下…38万円
900万円超950万円以下…26万円
950万円超1000万円以下…13万円

合計所得金額 900万円=給料のみなら年収1120万円
合計所得金額1000万円=給料のみなら年収1220万円

 

② 配偶者特別控除

配偶者の合計所得金額に応じて9段階、居住者の合計所得金額に応じて3段階で変わります。

<居住者の合計所得金額900万円以下>

配偶者の合計所得金額
38万円超85万円以下(給料年103~150万円)…38万円
85万円超90万円以下(給料年150~155万円)…36万円
 ~
120万円超123万円以下(給料年198~201万円)…3万円

<居住者の合計所得金額900万円超950万円以下>

配偶者の合計所得金額
38万円超85万円以下(給料年103~150万円)…26万円
85万円超90万円以下(給料年150~155万円)…24万円
 ~
120万円超123万円以下(給料年198~201万円)…2万円

<居住者の合計所得金額950万円超1000万円以下>

配偶者の合計所得金額
38万円超85万円以下(給料年103~150万円)…13万円
85万円超90万円以下(給料年150~155万円)…12万円

120万円超123万円以下(給料年198~201万円)…1万円

居住者の所得が900万円以下であれば満額控除できますが、50万刻みで1/3ずつ減って1000万円超で控除がなくなります。

 

 改正により「103万円の壁」「150万円の壁」になりました。
「150万円」というのは最低賃金の目標である時給1000円で1日6時間、週5日勤務した場合の年収を基準としており、パート労働者の9割をカバーする金額となっています。

 ただし配偶者手当の基準を103万円にしている企業が多いことから、大綱においても「労使の話し合いで基準を見直すことを強く要請する」と表現されています。