税務調査実況中継の6回目は4日目編です。
実際に4日目がある調査はあまりありませんが昨日に引き続いてどんなことを指摘されるかという内容を見ていきます。
【4日目編】
<在庫>
① 計上もれがないか
在庫は日々動くものであるため、早くても決算後半年以上経ってから来る調査の時点では中味は変わっています。逆に言うと操作ができてしまうため、在庫を多く計上すれば利益は増え、在庫を少なく計上すれば利益は減ります。
調査官は税金を多く取るのが目的なので在庫が少なすぎないかという点を決算直前の仕入、決算直後の売上からチェックして決算時点の在庫を推定していきます。
取引先や内職先の倉庫に置いてある「預け在庫」も必ず確認されるのでもれていないかチェックしておきましょう。
在庫表の確認もありますが最終的にきれいにまとめたものだけでなく手で数えた実地棚卸のメモも求められます。これも在庫を操作していないかを原始的な記録から確認するためです。
また印紙や切手も”貯蔵品”として在庫に計上する必要があります。
決算直前に大量購入しているのに在庫にないと指摘を受けます。
② 評価額は適正か
在庫を低く評価すれば利益は減るので、低価法で評価している場合には時価の証明を求められます。鉛筆をなめただけでは通りませんのでいくらで売れているかなどのデータで説明していくことになります。
また在庫を廃棄している場合にはマニフェストや廃棄時の写真などを求められます。
廃棄するつもりで倉庫の端っこに置いてるだけでは廃棄損にならず在庫もれになってしまうので注意して下さい。
<関係会社>
① 寄附はないか
子会社などの関係会社に安く商品を売ったり、経費の負担をしていないかを確認されます。第3者との取引と比べて優遇していれば差額は”寄附”になり、親会社の側で経費になりません。
② 契約書は整備されているか
お金の貸し借りや賃貸契約など関係会社間でも契約書をきっちり作る必要があります。
契約書がないと適当にやり取りできてしまい信憑性が低いためです。
印紙の貼りもれがないかも事前にチェックしておきましょう。
<海外関係>
① 取引価格は適正か
関係会社のところと同じ話になりますが第3者との取引と比較して適正な価格で取引しているかをチェックされます。特に税率の低い国に利益を移転していないかが重要なポイントで税務署も力を入れている項目です。
指摘された場合は巨額の修正になり得るので事前にしっかり確認しておきましょう。
② 経費負担はないか
海外子会社の起ち上げ時期など最初はどうしても親会社が応援して経費を負担するケースがあります。
海外支店であれば自社の一部ですが現地法人となると別の団体なので経費を負担すると寄附になってしまい親会社の経費になりません。
特に両方の会社を行き来する方がおられる場合は業務の負担割合も説明できるようにしておきましょう。
次回、最終日編へ続きます。