相続税には、相続税が増額される「2割加算」と相続税が減額される6つの「税額控除」があります。
(1)相続税額の2割加算
配偶者や1親等の血族(父母や子)以外の者が相続等により財産を取得した場合、その者の相続税額の2割が加算されます。
※1 孫が代襲相続人となった場合は、2割加算の対象から除かれます。
※2 養子は対象から除かれますが、孫が養子の場合は対象となります。
(2)税額控除
①配偶者控除(配偶者の税額軽減)
配偶者の相続した財産が次のいずれかの額以下の場合、配偶者に相続税はかかりません。
①法定相続分 |
②1億6,000万円 |
この制度を利用するためには、原則として申告期限内(10ヶ月以内)に遺産分割協議を完了させ、申告する必要があります。
②未成年者控除
相続人が未成年者の場合は、未成年者が成人(20歳)に達するまでの年数1年につき、10万円が相続税から控除されます。
控除額 |
10万円×(20歳-相続開始時の年齢) |
※1年未満の端数がある場合には、1年として計算します
③贈与税額控除
相続開始前3年以内の贈与財産は、相続税の対象として相続財産に加算されますが、支払済みの贈与税は、相続税から控除されます。
控除額 |
贈与を受けた年分の贈与税額 × |
相続税の対象として加算した贈与財産 |
その年分の贈与財産の合計額 |
※相続時精算課税制度を選択している場合、選択後に支払い済の贈与税は控除されます。 (詳しくは相続税精算課税制度へ)
④障害者控除
相続人が85歳未満の障害者の場合は、対象者の年齢が満85才になるまでの年数1年につき、①一般障害者の場合は10万円、②特別障害者の場合は20万円が相続税から控除されます。
控除額 |
①一般障害者 |
10万円 ×(85歳-相続開始時の年齢) |
②特別障害者 |
20万円×(85歳-相続開始時の年齢) |
⑤相次相続控除
10年間に2回以上の相続が起きた場合は、1回目の相続(第1次相続)で支払った相続税のうち一定の額が、2回目の相続(第2次相続)の相続税から控除されます。
控除額 |
A |
× |
C |
× |
D |
× |
10-E |
|
B-A |
C |
10 |
|
A・・・第2次相続の被相続人が、第1次相続で支払った相続税額。
B・・・第2次相続の被相続人が、第1次相続で取得した財産の価額。
C・・・第2次相続で相続人等の全員が取得した財産の価額の合計額。
D・・・相次相続控除を受ける相続人が第2次相続で取得した財産の価額
E・・・第1次相続から第2次相続までの年数 (1年未満は切捨て)
⑥外国税額控除
相続により取得した財産が海外にあり、その国で相続税に相当するものが課税されている場合は、その税額に相当する額が相続税額から控除されます。