租税回避に開示義務?

posted by 2016.08.24

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昨日の新聞に衝撃的な記事がありました。

”租税回避策、税理士に開示義務”

 基準を満たす租税回避策を指導した税理士に仕組みの開示を義務付けて、拒めば罰則もあるというものです。
基準の案は例えば次の3つ。
 ① 租税回避によって成功報酬を受け取る。
 ② 納税額を減らすための税務上の損失を生み出す。
 ③ 守秘義務がある。

③守秘義務があるのは当たり前で、②の損失計上も自然なことなので、問題は①の租税回避の部分になります。

 

 租税回避って何でしょうか。
租税回避と似た言葉に節税脱税がありますが比較で見ていきます。

 

<節税「シロ」>

法律の想定内で税金を減らそうとする行為。

例:家賃を年払いして今年の経費を増やす。
  個人が5年経過して税率が下がってから土地を売る。

 

<脱税「クロ」>

不正や嘘で税金を不当に逃れる行為。

例:売上除外や二重帳簿。
  架空経費や無申告。

 

<租税回避「グレー」>

合法だが不自然な取引で税負担を減少させる行為。

例:パナマにペーパーカンパニーを作り、利益を移転する。
  消費税の還付を受けるために自動販売機を設置(今は禁止)。

 

 今回の記事はタックスヘイブンやグループ会社への利益の付け替えなど比較的大きな案件を取り締まるのが目的のようですが、細かい案件まで網にかけるのかどうかはまだ分かりません。

 中小企業に関しては今の法律の中でも「行為計算の否認」という規定があり、不自然な取引はこの規定で否認することができます。
ただし「行為計算の否認」は超法規的な要素があって実務ではよほどでないと抜かないので”伝家の宝刀”と呼ばれています。

 租税回避の開示義務ができると「行為計算の否認」のあり方も変わってくるかも知れません。
2018年度の実施を目指しているようなので推移を注意深く見ておきたいと思います。