保険の圧縮記帳

posted by 2014.09.10

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 異常気象なのか大雨などによる災害が増えています。
建物などに被害を受けた時は保険金が下りますが、この保険金には税金がかかるのでしょうか?

個人の場合は損害の補填に過ぎないため所得税はかかりません

法人の場合は課税対象ですが、圧縮記帳という処理により課税を繰り延べます

(例)
 建物簿価  200万円
 撤去費用  100万円
 保険金    500万円
 新規建物 1000万円

そのまま処理するとこうなります。

<経費>
 除却損   200万円
 災害損失 100万円

<収益>
 雑収入  500万円

<資産>
 建物  1000万円

 

これだと収益と経費の差額300万円に法人税がかかります
建物も建て直さないといけない状況なのに保険金に税金がかかるのは酷な話です。
そこでこの300万円を”圧縮”します。

圧縮した損失はどこにいくかというと新規建物の取得価額を減らします。

 (圧縮損) 300万円 (建物) 300万円

この処理によって今後の減価償却費が減るのでトータルの税負担は実は変わりません
そのため”非課税”ではなく”課税の繰り延べ”になります。

 

 また新規建物というほどではなく修理だけで済むこともあります。
その場合は次のような処理になります。

<経費>
 修繕費  200万円

<収益>
 雑収入  300万円

一旦資産に計上して圧縮するのも単に修繕費にするのも結果は同じです。
なお収益と経費の差の100万円については法人税の課税対象になります。

 

 保険の処理は上記のようになりますがそもそも加入している保険が災害に対応しているかどうかという問題があります。
今は予想もしないところで水害や土砂崩れが起こったりするので一度保険証券で補償範囲をご確認されてはいかがでしょうか。