弁護士業務の必要経費に関する、所得税の裁判です。
どんな裁判かというと、
「経費として認めろ!」
「いや、認めません!」
という、税務調査ではよくある話なんですが、何せ納税者が弁護士さんなので裁判にまでなってしまいました。
問題となった経費は下記の通り。
税務署側はこれらを必要経費と認めてくれませんでした。
① 弁護士会の業務に関連する他の団体との協議会後に催される懇親会費用
② 上記①の懇親会終了後の2次会費用
③ 弁護士会会長へ立候補した際の活動等に要した費用
④ 弁護士会事務次長への香典
裁判の結果、下記の通りとなりました。
①…贅沢すぎなければ経費でOK
②…アウト
③…立候補に必要不可欠な費用は経費でOK。それ以外はアウト。
④…アウト
こうしてみると、納税者が勝ったようには見えない気もします。
しかしこの裁判では、今後納税者にとって有利になる判断が下されました。
それは「業務との直接関連性」と「業務遂行上の必要性」という論点です。
税務署は従来「直接関連性」と「必要性」の2つが揃わないと経費として認めませんでした。
それが今回の裁判で、「必要性」だけでOKと判断されました。
その理由は、「”直接関連性”の”直接”ってどういう意味よ?そもそも条文では”必要性”しか求めてないし」です。
税務署の常識と世間の常識とのズレを解消するためには、多大な労力が必要なんです。