前回の続きで特別受益と生命保険金の関係について見ていきます。
3.生命保険金
① 民法上の取扱い
まず生命保険金は民法上相続財産にはなりません。
保険契約に基づいて受取人が取得する固有の財産であることから亡くなった方の財産にはなりません。そのため遺産分割協議の対象にもなりません。
② 相続対策としての活用
相続財産ではないことから、生前に加入することによって相続対策に使えます。
<納税資金対策>
・受取人を相続税が多額に発生する人にしておけば、生命保険金で相続税が払えます。
<争族対策>
・遺産分割が必要ないので、渡したい人に確実に渡せて遺言に似た効果が得られます。
・特定の相続人に財産が集中した場合、他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける恐れがありますが、生命保険金をセットにしておけばそこから払えます。
③ 税金の取扱い
生命保険金は本来相続財産にはなりませんが、保険料は亡くなった方が負担していたことから「相続財産とみなして」課税されます。
なお、生命保険金には非課税枠(500万円 × 法定相続人の数)があり、税負担は軽減されています。
④ 特別受益との関係
民法上は相続財産でない以上、特別受益の対象にはなりません。
したがって生命保険金を受け取っているからといって、その分他の財産の取り分は減らされないことになります。
では全財産を生命保険金に変えてしまえば、受取人が全部もらえて遺留分減殺請求も受けないのでしょうか。
さすがにそれは通りません。
最高裁で争った例があり、「受取人と他の相続人との間に著しい不公平がある場合には持戻しの対象となる」という判決が出ています。
では「著しい不公平」というのはどの程度かという話になります。
判例では、保険の内容、居住の状況、介護への貢献、関係性、生活実態などを総合的に考慮するとされています。
数字で測れる定量的な要素では、生命保険金が遺産総額の6割を超えるかどうかが一つの目安とされています。
レアなケースではありますが、生命保険金は絶対に持戻しがないわけでないので注意しましょう。


