生命保険金と特別受益 ①

posted by 2026.09.1

まず結論から。

「相続の分割をする際に、生命保険金は特別受益の対象にならないので、スムーズな分割や納税に有効ですが、偏りが大きいと特別受益として持ち戻さなければならないこともあります」

これを順を追って確認していきます。

 

1.特別受益

① 特別受益とは

 特定の相続人が、亡くなった人から生前贈与や遺言によって受けた利益のことを言います。
特別受益によって多めにもらっている人がいる状態で法定相続分通りに分割すると不公平になるため、足し戻して調整する仕組みが民法に定められています。

例えば2億円の財産があって、相続人は兄弟2人だとします。
兄が生前贈与で5000万円もらっていた場合、相続時点で残るのは1億5000万円。
これを法定相続分の1/2で分けると7500万円ずつになります。
兄は生前に5000万円もらっているので合計1億2500万円、弟は7500万円となり、不公平な分割になってしまいます。
そこで生前贈与の5000万円を持ち戻して2億円にしてから1/2を掛けると1億円ずつ。
相続時点で残っている1億2500万円を兄が2500万円、弟が1億円受け取れば、トータル1億円ずつで公平な分割になります。

 

② 特別受益の範囲

<なるもの>

・結婚や養子縁組の際に受け取った多額の持参金や支度金

・生計の資本の贈与(住宅資金、事業資金、大学の学費など)

<ならないもの>

・扶養義務者間の一般的な生活費や教育費の援助

・相続人以外の人(孫など)が受けた贈与や遺贈

・特別受益の持ち戻し免除の意思表示がある(例:遺言に記載)

・夫婦間のおしどり贈与(婚姻20年以上で自宅やその購入資金を贈与)

・生命保険金や死亡退職金(詳細は次回)

 

③ 期間

<手続きできる期間>

・特別受益を主張できるのは亡くなってから10年間

<さかのぼる期間>

・原則制限なし(何年前でも足し戻す必要あり)

・遺留分侵害額請求をする場合は亡くなる10年前まで(遺留分侵害を分かって贈与していれば制限なし)

 

税金との関わりや生命保険については次回へ続きます。