必要なのはストーリー(税理士のための百箇条①)

posted by 2013.09.27

不定期連載 関根稔先生の「税理士のための百箇条」を読み解きます。

第2条 必要なのはストーリー 

 通常の申告でもそうですけど、大きな節税策を実行したときの申告では特に、なぜそんな取引をしたか、なぜそんな処理をしたか、税務署に説明できる合理的なストーリーを考えておかないといけません。私は「言い訳」と言っていましたが、「ストーリー」の方がかっこいいですね。

 税法には「行為計算の否認」という規定があります。これは、同族会社を利用して「税の負担を不当に減少」しようとする不埒な輩を取り締まるのが目的です。 

 例えば、大きな利益が出た同族会社があるとします。利益を減らすために、会社で1000万円のベンツを購入し、それをすぐさま社長個人に100万円で売却しました。900万円の譲渡損失が発生するので、会社の利益は圧縮され、支払う税金も減りそうです。

でも、こんな単純な節税を税務署が許すはずありません

「何で1000万円の車を100万円で売るんですか?不自然ですよね?節税が目的でしょ?税負担の不当な減少ですよね?この行為計算は否認します」
まあ、こんな感じで突っ込まれると思います。

この突っ込みに対抗できる合理的なストーリー、つまり「ああなるほど、そんな理由があったんですか」と税務署が納得するような理由がないならば、こんなことはやめておきましょう。

関根先生も、「何のための取引かと問われ、“はい、節税です”と答えるのは、まさに課税庁への無謀な挑戦だろう」と述べておられます。