前回、固定資産購入時の諸費用が経費になるか取得価額になるか、法人について見ていきましたが、今回はその続きで個人の場合の取り扱いです。
基本的には法人と同じですが、一部違いがあります。
1.業務用か非業務用かの違い
法人の場合は経費でも取得価額でもどちらか選べた下記のものについて、業務用であれば「経費」、非業務用なら「取得価額」になります。
・不動産取得税や自動車関連の税金(取得税、重量税)
・抵当権設定費用
・自動車購入時の手続き費用やナンバープレート取得費用
・売買契約書の印紙代
・登記費用や登録免許税のうち、2以外のもの(例:土地や建物)
2.登録が必要かどうかの違い
・登録により権利が発生(特許権、鉱業権等)⇒取得価額
・登録を要するもの(自動車、船舶、航空機)⇒取得価額または経費
3.開業しているかどうかの違い
・借入金利子で稼働前の期間対応分
⇒新規開業時は取得価額のみ
既に開業している場合は取得価額または必要経費
法人と異なる取り扱いになる理由としては、法人はすべてを「業務用」と考えますが、個人には「非業務用」があるためです。
また1、2については、取得価額に関する最高裁判例を受けて明確にされたという背景もあります。
なお非業務用資産の取得価額に算入された諸費用は、売却時には原価として控除することができます。
個人の業務用資産については選択ではなく強制的に経費になるものがあるということを覚えておきましょう。