物価上昇に伴って今年も最低賃金が大きく引き上げられる予定です。
厚生労働相の諮問機関である中央最低賃金審議会が全国平均で50円引き上げて時給1054円にする目安を先日答申しています。
今後は各都道府県の審議会が目安額をもとに議論し、10月中に引き上げが適用される見通しです。
会社にとっては人件費負担が増えますが、法律上の必要性だけでなく、人手を確保するためにも賃上げは避けられないところです。
賃上げをした場合の税額控除についておさらいしておきます。
1.令和4年度改正
① 対象
<時期>
・令和4年4月1日~令和6年3月31日開始(令和5年3月決算~令和6年2月決算)
<対象企業>
・青色申告
・大企業、中小企業を問わず個人も含む
② 要件
<大企業>
・通常:継続雇用者給与等支給額が前年度比3%以上増加※
※資本金10億円以上かつ従業員1000人以上の場合、マルチステークホルダー要件も必須(従業員や取引先との適切な付き合い方をHP等で宣言し、経産省にも届出)
・上乗せ①:継続雇用者給与等支給額が前年度比4%以上増加
・上乗せ②:教育訓練費が前年度比20%以上増加
<中小企業者等>※
・通常:雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加
・上乗せ①:雇用者給与等支給額が前年度比2.5%以上増加
・上乗せ②:教育訓練費が前年度比10%以上増加
大企業では継続雇用者のピックアップが再び必要になりましたが、中小企業向けの制度では不要です。
※中小企業者等
・青色申告で資本金1億円以下
・対象外:同一の大規模法人から1/2以上の出資又は複数の大規模法人から2/3以上の出資
・対象外:前3年の所得平均が15億円超
③ 控除額
<大企業>
・通常:雇用者全体の支給増加額 × 15%
・上乗せ①:通常+10%
・上乗せ②:通常+5%
判定は継続雇用者でしますが、率を掛ける時は全体の増加額を使います。
最大の控除率は30%で10%拡大しています。
なお大企業向けということになっていますが、中小企業でも使えます。
<中小企業者等>
・通常:控除対象給与等支給増加額 × 15%
・上乗せ①:通常+15%
・上乗せ②:通常+10%
上乗せが以前は給与又は教育費という要件でしたが、2つに分かれて別々に上乗せできるので最大の控除率は40%と15%拡大しています。
なお、以前あった経営力向上計画の要件はありません。
令和6年4月1日以後に開始する事業年度については新しい制度になっているので次回へ続きます。