在職老齢年金の緩和

posted by 2022.03.18

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 社会保険に入りながら働いた場合、もらう年金が削られます。

 もう少し正確に言うと、社会保険加入者であり年金受給者でもある方が、総報酬月額相当額(給与と賞与の合計÷12)と老齢厚生年金の基本月額を合計して、65歳未満では28万円、65歳以上では47万円を上回る場合に年金額が一部または全部支給停止される制度です。
この基準となる「28万円」「47万円」支給停止基準額といいます。

 

 定年の延長等により60歳以降も働く方が増えていることから、令和4年4月から65歳未満の支給停止基準額「28万円」が見直され、「47万円」に一本化されます。
この見直しにより、年金が減るのを気にして働くのを躊躇していた65歳未満の方も働きやすくなります。

 なお、在職老齢年金は社会保険に加入しながら働く場合に年金が支給停止になる制度なので、社会保険に入らなくていい範囲で働く場合には影響がありません。同様に給料ではなく、事業や不動産の収入がある場合も社会保険には加入しないので支給停止はありません。
また老齢基礎年金部分には支給停止の仕組みはなく、そのままもらえます。

 

 上記の在職老齢年金の緩和と同じタイミングで、65歳以上の方に関して『在職定時改定』が新設されます。
年金をもらいながら働いている場合、毎月社会保険料を払いますが、払った保険料がもらう年金に反映されるのは従来は退職時又は70歳到達時でした。
退職等するまで老齢厚生年金の額は増えないので、就労意欲向上の妨げになっていました。

 そこで令和4年4月から『在職定時改定』という新しい制度が導入されることとなりました。
この制度により、会社を退職等しなくても毎年10月に老齢厚生年金の額が改定されます。毎年1年分の被保険者期間が「老齢厚生年金」の金額に反映され、年々増額されるので勤労意欲の向上につながることが期待されます。