国外財産調書の提出状況

posted by 2022.02.7

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 令和2年分の国外財産調書の提出状況が国税庁から発表されていました。

 

 国外財産調書とは年末時点で海外に5000万円以上の財産を所有する居住者が3月15日までに税務署に調書を提出する制度です。

 令和2年分の提出件数は11,331件で制度が始まった平成25年以降で最も多くなっています。
令和2年から罰則が強化されていることも増加の背景としてありそうです。
財産額は4兆1465億円で1件あたりでは約3億7500万円となります。
地域別では東京国税局管内に集中しており、件数で7,216件(全体の63.7%)、財産額で3兆161億円(全体の72,7%)を占めています。

 財産の内訳は次の通りです。

・有価証券 2兆1,225億円(51.2%)
・預 貯 金 7,208億円(17.4%)
・建     物 4,523億円(10.9%)
・貸 付 金 2,010億円( 4.8%)
・土   地 1,467億円( 3.5%)
・上記以外 5,032億円(12.1%)

国際間で移動させやすい有価証券や預貯金が多くを占めています。

 

 国外財産については海外の税務当局との情報交換制度(CRSにより入手した情報を積極的に調査や問い合わせに活用しています。
2月初めには昨年末時点の預金口座の情報247万件を入手したという発表が国税庁から出ていました。

 2017年に全国の国税局に富裕層向けのプロジェクトチームが設置されています。
国外財産は情報がなく税務調査が難しいというのは昔の話で、今は世界各国から自動的に情報が集まります。
CRS情報、国外財産調書、国外送金等調書、国内の財産債務調書などの情報を元に法人税や所得税も含めた総合的な調査を実施しています。

 

 次回は提出期限も近いですので国外財産調書の内容を確認します。