リスキリングとは

posted by 2022.02.3

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 「リスキリング(Reskilling)」という言葉を昨年あたりからよく耳にするようになりました。
直訳すると「学び直し」ですが、経済産業省では次のように定義しています。

「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

 

 研修でスキルを身につける、というだけなら特に目新しさはありませんが、DXとコロナとの関連で注目されています。

1.DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

 DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義されています。
平たく言うと「デジタル化によって全社的な価値創出を目指す取り組み」です。

 DXを推進する上では多くのデジタル人材が必要ですが、人手不足で新たに雇用することが難しいため、社内でいかに育成していくかという点が注目されています。

 

2.働き方改革

 コロナ禍によりテレワークが導入されたり、顧客とのやり取りがZOOM等に移行したりと働き方が大きく変わりました。
新しい働き方に対応するには従来の業務知識にデジタルスキルを組み合わせていく必要があるため、会社全体として底上げしていくことが求められています。

 

 会計上はリスキリングに係る経費は「研修費」「教育費」等の科目で処理します。
税務的には教育費が増えることによる優遇措置もあります。

① 人材確保等促進税制

<概要>

 新規雇用者の給与が前期比2%以上増加した場合に新規雇用者給与×15%の税額控除ができる制度で、教育訓練費が20%以上増加した場合には+5%の上乗せがあります。

<対象>

 青色申告法人(大企業、中小企業を問わない)

<改正>

 令和4年4月1日~令和6年3月31日開始事業年度については、新規ではなく継続雇用者の給与が3%以上増加するかどうかで判定します。
教育訓練費の上乗せは変更ありませんが、給与が4%以上増加すれば+10%されるので最大30%の税額控除ができます。

 

② 所得拡大促進税制

<概要>

 雇用者全体の給与が前年比1.5%以上増加した場合に増加額×15%の税額控除ができる制度で、給与等が2.5%以上増加し、かつ教育訓練費が10%以上増加(あるいは経営力向上計画に基づく証明)した場合には+10%の上乗せがあります。

<対象企業>

 青色申告法人である中小企業者等(個人含む)

<改正>

 令和4年4月1日~令和6年3月31日開始事業年度については、上乗せが2つに分解され、給与総額の2.5%以上増加で+15%、教育訓練費の10%以上増加で+10%、合わせて最大40%の税額控除ができます。

 

 デジタルスキルの向上はどんな業界でも避けて通れないところがありますので、税制上の特典も積極的に使っていきましょう。