ないことの証明

posted by 2022.02.2

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 会計処理をするには通常請求書や領収書といった書類上の根拠(原始証憑)が必要です。
モノを買う場合などは書類はありますが、廃棄などにより損失処理をする場合は「ないこと」をどう証明すればいいのでしょうか。

 

 モノの種類によって必要な書類が変わってきます。

① 在庫

 産業廃棄物として処分する場合は業者さんから「マニフェスト(産業廃棄物管理票)」という書類を受け取ります。
マニフェストには、産業廃棄物の名称、数量、運搬業者名、処分業者名などが書かれているので内容が確認できます。
さらに処分前の写真をつけておくとベターです。

 なお在庫については、ほぼ値打ちはないけどもしかしたら売るかもという商品を在庫としてカウントせずに保管するケースがあります。
近いうちに処分する場合はいいのですが、そのままずっと置いておくと税務調査時に在庫の計上漏れを指摘されるので残す場合は漏れないように注意しましょう。

 

② 固定資産

 登記のある建物については滅失登記をすることで証明されます。
滅失登記をするには解体業者さんに「取壊し証明書」を発行してもらう必要があります。

 車についても陸運局等で廃車証明書(保険の解約等にも必要)を取得することができます。
廃車手続きを業者さんに依頼した場合は手数料の請求があるのでそれでも確認できます。

 それ以外の固定資産やソフトウェアなどについては、経緯が分かる書類や稟議書、写真などで説明ができる状態にしておくのがベターです。

 製品や固定資産を処分した場合、スクラップがお金になることがあります。
雑収入として受け入れるのが正しい処理ですが、こんなちょっとぐらいならと外してしまうこともあります。
税務調査では必ずと言っていいほどチェックされますのできっちり計上しましょう。

 

 なお固定資産については廃棄してない状態でも損失処理する「有姿除却」という考え方もあります。
使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産については、その帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができます
有姿除却できるかどうかは個別判断になりますので、通常の除却以上に稟議書や議事録、説明書類などが重要になってきます。

 

 何でもかんでも書類で証明しないといけないというわけではありませんが、税務署としては「処分したと言いつつ換金しているのでは」とか「個人で受け取っているのでは」という点に着目しているので書類で説明できればすぐにその疑念は払拭できます。