前回は文化財が建っている場合の税金を取り上げましたが、古墳や土器などが埋まってそうな土地はどう評価されるのでしょうか。
何か埋まってそうな土地は正確には「埋葬文化財包蔵地」と言いますが、平成20年に国税不服審判所で争われた事例があり、現在はその考え方が定着しています。
1.審判の内容
① 納税者の主張
周知の埋蔵文化財包蔵地については、発掘調査の費用が所有者負担であり、事前届出や何か出てきた場合には最長3か月の工事停止などの規制があるため、調査発掘費用の80%を減額すべき。
② 税務署の主張
発掘調査しなくても使用可能な土地であり、利用に制限もないことから発掘費用は控除できない。
減額できるとしても著しく利用価値が低下している土地の10%
③ 審判所の判断
路線価に埋蔵文化財包蔵地であることが考慮されておらず、多額の調査費用の負担があることから、土壌汚染地の評価に準じて発掘調査費用の80%を減額すべき。
なお使用収益に制限がなく、土壌汚染地のような心理的な嫌悪感はないことから調査費用以上の減額はない。
2.留意点
・埋蔵文化財包蔵地については通常、市の教育委員会で管理しており、HP等での公開情報か役所での閲覧で確認できます。
・路線価で減額部分が考慮されていないことが前提ですので周囲に比べて極端に低くないかの確認は必要です。
・発掘調査費用は見積り額でOK
・開発の予定が全くないなど発掘調査費用の見積りが難しい場合には少なくとも10%の減額はできると考えられます。
・減額は更正の請求でも可能ですが、その場合は確実に税務調査は来るので根拠はしっかり準備しておきましょう。
奈良ではどこ掘っても何か出てくるので家を建て替えるのも大変!というTV番組を観ましたが、可能性がありそうなら埋蔵文化財包蔵地に該当するかどうかあらかじめ確認しておきましょう。