間違えやすい調整控除②

posted by 2021.02.1

nenkin_techou_obaasan

 前回の続きで所得金額調整控除の「その2」を見ていきます。

「その1」給与所得控除の縮小に関して、子育て世帯や特別障害者がいる世帯で緩和するというものでした。
「その2」は全く違う内容で、給与と年金の両方がある人に関して、控除が縮小してしまった部分を復活させる制度です。

 

<背景>
 令和2年分から「基礎控除」が38万円→48万円に増額されています。
「基礎控除」はすべての人に認められている控除で、元々は必要最低限の生活費を確保するためのものでした。
1965年に15万円でスタートして、少しずつ増額されてきましたが、1995年以降は38万円で固定されており、最低生活費とは言えない状況でした。
そういった状況や控除の簡略化などの観点から基礎控除が10万円増やされました。

 一方給与と年金は10万円増税されています。
給与所得控除は、多様な働き方の推進や法人化による節税効果の縮小などの観点から10万円縮小されています。
年金については公的年金等控除により税負担が軽減されていますが、財政難が理由なのか分かりませんが、控除額が10万円縮小されています。

 給与と年金の10万円増税については、基礎控除の10万円アップと合わせて考えると相殺されます。
ところが給与と年金の両方がある人は、20万円増税に対して基礎控除アップは10万円なので、10万円の増税が残ります。
この部分は調整するために令和2年分から導入されたのが所得金額調整控除「その2」です。

 

<適用対象者>
・給与所得と雑所得(公的年金等)の両方がある。
・給与所得控除後の給与+公的年金等控除後の年金>10万円

 

<控除額>
・最大10万円
・給与所得控除後の給与(最大10万円)+公的年金等控除後の年金(最大10万円)-10万円

 

<タイミング>
・給与と年金の両方の情報が必要なので確定申告で計算します。
・所得金額調整控除「その1」は年末調整でも確定申告でも使えましたが、「その2」は確定申告でしか使えません。
・「その1」と「その2」は併用できます。

 

 長々と書きましたが、簡単に言うと、給与と年金の両方で所得がある人は増税がダブるため、最大10万円追加で控除できる、という制度です。

 確定申告ソフトだとある程度反応してくれそうですが、手書きの場合は特に計算欄もないだけに漏れてしまう可能性があるので注意しましょう。